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第2回TOSMシンポジウム資料・序文
1993年8月8日に第1回TOSMシンポジウムを福井大学教育学部の教室で開いてから、3年が経ちました。
数学者による数学教育運動というよりも、教育学部数学教室に長年勤務し、小中高の教師を送り出してきたものとして、算数・数学教育の現況に対する強い懸念と責任感から、現場の教師に対する何らかの支援活動をする必要を感じた3人の幾何学者が、見通しもなく、戦略もなく、ただやむにやまれぬ思いで始めたのがTOSM(Teaching of School Mathematics)の運動です。
だから、TOSMとは何をやるものかがあるのではなく、我々が算数・数学教育の現場に対して何かを考え、何かをすることがTOSM活動であり、ほかの人々の協力を仰いで行うものがTOSMプロジェクトであったのです。
第1回シンポジウム当時、TOSMプロジェクトとして考えられたことは
- TOSMポスト
- TOSMシンポジウム
- TOSMスクール(中高生対象の数学講座)
- TOSM相談室(教師対象の巡回相談)
- TOSM講座(教師対象の数学講座)
- TOSMブックスの出版
- TOSM推薦図書の選定
でした。
始めの二つ以外は、実施には色々な障害があって、今後の課題となっています。
部分的には、三重県の美杉セミナーは、三重県高数研主催の合宿形式で行われる高校生対象のサマースクールで、1991年の夏から毎年行われています。
TOSMブックスの最初の計画に「小学校教師の数学的常識」を挙げ、一部を書き出しましたが、完成はまだまだいつのことになるか分かりません。
TOSMシンポジウムはやっと2回目です。これからは毎年開くこととし、次の年のテーマを前年のシンポジウムのときから募ることにして、意義あるものとしたいと思っています。
TOSMポストは、教師対象の算数・数学質問箱、ないし、児童生徒の反論・疑問への対処法の質問箱で、1993年以来続いています。あまり、TOSMが認知されていない所為で、質問の数は多くありませんが、良い質問がかなりあって、答えるのに苦労することもあります。
答えはそれぞれにかなり長い文章が用意されていますが、教育界に手蔓が無いので、全国的なものとして出版する機会がありません。
三重県高数研のご好意によって、その会誌に回答を掲載していただいております。
この資料はそこに掲載された回答を集め、若干の加筆訂正をしたものです。
後でも述べますが、近年のインターネットの爆発的な進展によって、これから加速度的に各学校にインターネットが敷かれていくでしょう。
このシンポジウムを岐阜で開くことになって、中馬氏は蟹江にホームページの開設を提案(というより、強要)し、開設の意味を議論するより、まず作ってみるかということになり、三重大学と岐阜大学にホームページを作りました。
作って、内容を少しずつ充実していくうちに、これこそが我々の弱点を補う最良の手段ではないかと思うようになりました。
我々の弱点は、知られていないことであり、どこへでも出かける行動力と金のないことです。それがインターネットによって、補われます。面と向かって質問しにくいことも、キーボードを叩くだけで可能になります。
答える側も、質問されてもすぐに答える必要はなく、時間をかけて答えれば良いのですから。
ホームページのアドレスは
です。ご要望やご質問を受け付ける掲示板も、今は4種類(TOSM三重に)あります。シンポジウムの休憩時間や終了後、ご希望の方に体験していただくことも考えております。
ところで、このシンポジウムのテーマの一つは「数学離れ」ですが、初等・中等教育でばかりでなく、高等教育における数学離れの風潮も顕著なものがあります。
日本数学会でもこれまで座視していたことを反省し、「大学における数学基礎教育」や「数学の将来」の問題に関して検討するワーキンググループが作り、活動を始めております。
数学者集団としての数学会が、大学を含めた数学教育の現況に対して、行動を起こさねばならないと考えていることだけはお汲み取りいただきたいと思います。
それぞれのワーキングループWGのホームページをご覧くださり、ご意見をお受けしたいと思っております。
大学における数学基礎教育WG:http://skk.math.hc.keio.ac.jp/mathsoc/wg-homepage.html
数学の将来計画WG:http://www.kusm.kyoto-u.ac.jp/sugaku/index_j.html
数学会の体質も改善し、少なくとも高校の数学の先生方に喜んで入会して頂けるような学会に変えて行くべきだという意見も強くなって来ております。
現実的には過去のしがらみもあり簡単ではないと思いますが、数学会への提案がございましたらいつでも取り次ぎ、実現に努力して行きたいと考えております。
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