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 リーマンの著作集を除いて、日本語で書かれた本だけを、挙げてあります。 今書店に並んでいない本も良い本は挙げてあります。 図書館で探せば見つかることもあるし、図書館の検索システムも普及してきて別の図書館の本を手にすることも出来るようになっています。
 すべて、著者の苗字のアルファベット順に並べてあります。優れた本の多くが翻訳されたもので、著者が日本人かどうかで別にするよりも、ということでこうしました。慣れない方も多いとは思いますが、慣れればそんなに大変ではないと思います。是非、慣れてください。
 著者が日本人でない場合、カタカナにするときの規則が一定でなく、同じ人に異なる表記を用いていることがあるが、あくまでも、日本語の本を手にするための補助のためのリストであるので、その翻訳書で用いられている表記にしたがっている。

 最初は「数学」に関するものだけで、それもコメントを1つずつに付けていく予定でした。しかも、小中高校の先生に読むことが可能で読んで何か役に立つ程度の本で、現在入手可能なものにする予定でした。いわゆる算数・数学教育に役立つ本ということで。
 しかし、ホームページを公開して、数学愛好者の方から「どんな本を読んだらよいか?」という質問を受けてしまいますと、「数学」の本も挙げておかねばならなくなります。玉石混交で、選びように困るという意見もあるかとは思いますが、まずはデータをという意味でお許し下さい。
 大学以上の程度の本の場合は、多少選択が入っています。歴史的な意味のあるものや名著で手に入るもの入れることにしました。
 数学以外の科学の本についても、現場の希望があるようなので,少し恥ずかしいですが、僕の知っている本を挙げることにしました。書斎科学や実験科学ばかりでなく、フィールド科学も大切だと思っていることが反映しています。
 「マテマティカ」に関する文献や「TeX」に関する文献について、月例会員から質問されたので、専門家ではないけれど、挙げておくことにしました。 どの部門についても、ここに挙げられていないもので重要なものがありましたら、メールか掲示板でお知らせください。

 思いついたまま本を挙げていくと、挙げたほうが良いとか悪いとかの基準が段々とふらついてくる。 よほど止めておくべきだと思う本でも、「選択するのは読者の責任」、とエイヤッと入れてしまうことになる。 一通り挙げてから、気に入った本の書評を兼ねて、少しずつ取り上げていくつもりなのだが、一向に「一通り」にならない。
 誰も感謝してくれないかも知れないこんなこと、いい加減に止めたいと思わないじゃないけれど、一人だけ、こうして貰えると有り難いと僕をおだてる人がいる。

「猿もおだてりゃ木に上る」

 しばらくは猿になっていることにした。出来れば他の用をまわさないで!
 しかし、なんという本の多さだろう。訳本には概して良い本が多いのだが、それにしてもどうしてっていうほど多い。日本人は本を読まなくなった、と良く聞くけれど、一体誰が読んでいるのだろう。
 本を読んで面白いと思ったら、それを伝えてください。書評もで構いません。そのために掲示板を2枚用意しました。あなたが教師なら「こんな本どう?」掲示板に、あなたが児童・生徒・学生・社会人なら「こんな本見つけた?」掲示板に、書き込んでください。
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 この本のリストを見て、僕の精神分裂を心配している読者のために、数学セミナー1992年8月号の「私の本棚」という特集に依頼されて書いた文章を再録しておくことにする。
 依頼の項目は次のとおりだった。
--あなたの読書体験や勧めたい本を教えてください。
  1. 高校生・大学生・社会人1年生に勧めたい自然科学書
  2. 自然科学以外の分野で勧めたい本
  3. 中学生・高校生のとき読んで面白かった自然科学書
  4. 旅行に行くとき、カバンに入れておきたい本
  5. 今、読んでいる(論文でない)数学書

私の本棚(数学セミナー1992年8月号27ページ)


 本棚なんてものは、下着と同じようなもので、他人に見せるようなものではない。汚ければ恥ずかしいし、綺麗だからって見せびらかすようでは品性が疑われる。だから、原稿の依頼を受けたとき断りの言葉がまず頭に浮かんだのだが、数学・自然科学を志す若い人が読んだら良いようなものを編集部の求める項目にしたがって挙げれば良いらしい。それで原稿を引き受けはしたのだが、高校生に勧められるような数学・自然科学の本が思いつかないのには困ってしまった。
 私が高校までに読んだ本にしても、自然科学の本というよりそれに関する歴史の本になってしまう。数学でなら、ベル『数学を作った人々(上・下)』田中勇・銀林浩訳(東京図書)が一番印象に残っているし、自然科学でなら、コペルニクスケプラーガリレオ・ガリレイニュートンなどの伝記、相対論や量子力学の発展の解説書を手当たり次第に読みはしたが、薦めて良い本といえるかどうか?
 本当に数学・自然科学を理解しようとしたら、それに必要な技術の習得はどうしても避けられない。たとえば、ニュートンの仕事の意義や、それ以降の自然科学の発展を理解するためには微積分を知らずには何ともならない。 アダマール『数学における発見の心理』伏見康治・尾崎辰之助訳(みすず書房)に挙げられているポアンカレの逸話は有名だが、長い間考え続けても分からなかった保型関数の性質が馬車に乗り込むときに分かったと言われても、 馬車に乗り込むときに普段使わない筋肉を使ったことが、ポアンカレの脳のどこかを刺激して活性化したとか、通常では起こらないシナプス結合をしたのじゃないかと想像するぐらいのことだ。ポアンカレがそのとき発見した保型関数の性質が何か、分かったら面白いだろうと思っても、教えてくれる歴史書はない。
 科学者本人が自分の仕事や、仕事を支える思考をできるだけ平易に書いた本も多くはないがあることはある。私が高校生の頃、何ヶ月も持ち歩いていたが結局は読み切れなかったガリレオ・ガリレイ『天文対話』青木靖三訳(岩波文庫)とか、時代が新しいためか楽しく読めたアインシュタイン、インフェルト『物理学はいかにして創られたか(上・下)』石原純訳(岩波新書)等は、元気な高校生なら読めると思うし、受験の向こう側にある世界の広がりや深さを感じさせてくれるだろう。
 デデキント『数とは何か』河野伊三郎訳(岩波文庫)を大学1年のときに読んだのが、歴史書でない数学の本として初めてのものだった。それまで読んでいた啓蒙書と違った骨身を削る思索の書といった感じがして、身の引き締まる思いがしたものだ。物理をやろうと思って大学に入ったのに数学をやることになってしまったのは、そのためだったのかも知れない。翻って考えてみると、高校のときに読んでいたとしたら、大学に入って論理学でもやっていたかも知れない。高校生に勧めるのは止めよう。大学生になってから読んだらいい。
 他の自然科学の本では、伊谷純一郎『日本動物記2 高崎山のサル』(思索社)が良い。著者の人間に対する、学問に対する愛情と情熱が伝わってくる。 大学3年の冬、京大闘争の最中で伊谷先生に出会い、その求道者のようでありながら一方ですこぶる人間臭い人柄に惹かれたことがあった。高校時代にこの本を読んでいたら、もしかすると今ごろはアフリカで暮らしていたかもしれない。危ない。危ない。数学をやろうという若い人は、この本を読んではいけません。
 自然科学の応用ということで胸踊るような本といえば、フレッド・ホイル『暗黒星雲』鈴木敬信訳(法政大学出版会)はどうだろう。SFではあるが、天文学者のホイルが、学問をするものの世界に対する責任をどう果たすべきかについて、1つの解答を与えたものだと言える。

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