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TOSM月例会・今月の本


内 容
名  前西岡 孝昭
所  属亀山 高校
本の題名「さあ数学しよう!-ハイスクールでの対話-」Serge Lang著、松坂和夫・大橋義房訳、1987年3月19日第1刷発行、204ページ\1300、岩波書店
内  容 「数学は、なぜか学校教育で生徒たちからきらわれている教科になっています。(裏表紙)」

K:なぜかだって?
偏差値で輪切りにされて、入試の数学が0点の子だって高校には入ってるんだよ。
中学から数学の授業時間は見学者扱いされ続けていた子もいる。
あんまりできないから先生に首をしめられたって子もいる。
数学のできる同級生たちが幸せな進路をとっていくたびに、暗い気持ちが重なりそのまま入ってきた高校で、「楽しく面白い数学(表紙)」なんてできるものか。


「面積の式に現れるのと同じ定数が、こうした形で円周の式に現れるというのは、驚くべき事実である(p.19パイとは何か?)」

T:まあまあ、そんなに怒らずに。
半径1の円の面積をπと定義して、半径rの円周の長さは2πrであることを証明する。極限の考えを使いながらのこの証明はよくわかるだろう。
円周率という言葉でイメージをしばられている高校生たちにはいい教材だと思う。
円周率というよりパイと言う方が丸いものを思い浮かべるし、まず面積がイメージされるのではないか。


「最も簡単な場合は何だろう。(p.49立体の体積)」

K:僕の高校の生徒は最も簡単な場合でもあやしいんだ。
T:でもこの節は、1辺1の立方体を中心で6つに割って、その4角錐の体積が1/6であることからスタートする。
K:分数がむづかしいが、まぁいいことにしよう。
T:その簡単な図形から始めて、「3次元において、r,s,tの倍率で相似変換をすると、立体の体積は積rstの倍率で変化する。(p.46)」ことや「傾斜やずらしによって、面積は変わらない。(p.61)」こと「底面を長方形で近似する(p.66)」ことなどを使って、錐体の体積までたどり着く。
この流れは、トロント郊外のハイスクールの生徒に負けず、僕らの生徒たちも興味を持ってくれそうだ。
次の球の体積からは計算が増えるから、また君が何か言いそうだがね。
K:しかし、この節で「相似変換」と訳してあるのは、円が楕円に移るのも含めているので、ちょっと範囲が広すぎじゃないか。アフィン変換とすべきだ。


「(小さい球の表面積)×h≦帯の体積≦(大きい球の表面積)×h(p.126球の表面積)」

K:ここは難しい。前の節に円周の長さがあって、その説明はよく分かるが。スポンジのような物で球をくるむ図でもかくのか?
それに「帯」と言うよりは「饅頭の皮」の方がいい。
T:「皮の体積=(中くらいの球の表面積)×hとなる中くらいの球が存在する。」も難しいしね。ステファン君分かったのかな?(1996.11.9記)

日  付1996年 11月 9日 土曜日

内 容
名  前丸林 哲也
所  属津西高校
題  名現代数学への招待−多様体とは何か−」志賀浩二著、岩波書店1979
内  容  1カ月の時間がありながらまだ第4章へ入ったばかりで肝心の第4章・第5章が未読の状態です.したがって,第4章の途中までの書評を書きます.(次回には全部読んだ書評を書きます)
 著者のこの本で意図するところは,「現代数学の普通のテキストには記載されていないし,数学者の意識の中においても,普段は深く潜んでいるようなものを私なりに取り出して,述べることであった.無論,そのような試みを支える基調は,多様体の周辺にある.」と前書きにあります.また普通の数学書において,主観の介在を避けるために数学の意味にふれることは極力避ける傾向にあるところを,この本では現代数学の意味するところを積極的に問う道を選んでいます.
 ところで,従来数学者はこの種の本を書くことを何かレベルの低い本を書くというような認識があって,敢えてしなかったことではないでしょうか.(実際のところを数学者にお聞きしたいですが・・・)そこで,世界的な数学者の著者がこのような試みをされたところに大きな意義があるように思われます.
 そういえば著者が定年を余して東京工大の教授を辞され桐蔭学園横浜大学へ移られ,それと前後して「対話・20世紀数学の飛翔」シリーズ(日本評論社)・・・1解析学の表現したもの(青本和彦+志賀浩二),2数学を育てる土壌(上野健爾+志賀浩二),3確率論をめぐって(高橋陽一朗+志賀浩二),4数学のおもしろさ(斉藤恭司+志賀浩二),5トポロジーの展開(森田茂之+志賀浩二)・・・や数学30講シリーズ(朝倉書店)等の著作により積極的に数学教育や若い世代への数学の啓蒙と普及に力を注がれているように感じられます.その後,数学離れとかがクローズアップされてきていますが,著者はそのことを当時身近にすでに感じられていたのではないでしょうか.現在,大学の数学者も積極的に数学教育や数学の普及に力をそそがれている現状を見聞きするなかで我々高校の教師も生徒も数学を勉強する機会や環境は徐々によくなりつつあると思います.従って,この機会にしっかり勉強しましょう.(自戒の念を込めて)
 さて,この本について,まず全体にいえることは,例や,図が一貫していて,なめらかな口調で書かれているという感じがします.忘れた定義等が出てくれば,前に戻って確認しながら読むことも容易であります.とはいえやはり,索引は付けていただきたかった.厳密に書かれた数学書とタイプは異にする本であるからその必要もないかとも思われまが.ただ考えようによっては,この索引がないということは,著者の教育的な意図によるもので,読者が自ら索引をつくって読むことによって,内容の理解が深まることを期待したのかもしれません.そういう意味でこの本の索引をつくってみようと思います.
 1章は2章への準備という内容で,座標や球面について書かれています.特に2次元球面から3次元球面について,親切な図を入れて説明されており,この内容は「高校生のための数学記供廚砲盻颪れています.「高校生のための数学記供廚盍泙瓩討發少しきちんと読んでみます.
 2章では近さの場として,位相空間が書かれています.項目は1.距離の概念,2.近さの概念,3.位相空間から実数に向けて,4.位相多様体となっています.どうしても普段高校の数学を教えていて,このような概念を使う機会に恵まれないので・・・.
 3章は微分についてという内容で書かれていますが,これは4章の可微分多様体への準備という内容です.つまり2章で近さの概念から位相空間から,さらに位相多様体を定義して3章で滑らかさの概念として微分構造を考え,位相多様体に微分構造導入して(可微分)多様体をを定義していく.
 5章は動きゆく場(バンドル)と続いていきますが,続きは次回に自戒を込めて書かせていただきます.
日  付1996年 11月 9日 土曜日

内 容
名  前阪口 由佳
所  属津工業高校
本の題名「生きていくのはアンタ自身よ 佐保利流「人生」「勉強」トラの巻」森毅著
内  容  10月の月例会で、今月から何か一人一冊ずつ数学に関する本を読んで、次回の月例会には、書評を持ち寄ろうということになった。その時、たまたま、私のかばんの中に入っていたのが、森 毅先生のこの一冊。ほとんど数学とは無関係であるように思えるタイトルであるが、読んでみると、森先生の考える数学と、人生・生き方とをうまく結びつけて、現代社会の諸問題や学校現場の受験競争やイジメ問題にも踏み込んで述べてある。数学嫌いの人もこの一冊で、自分にあったやり方、生き方を見つけるヒントになるんじゃないかと思える位である。
 とりわけ、佐保利流「勉強」トラの巻の中で4番目のところにこんな言葉が出てくる。 《目の前のテストのことを考えれば、気もあせるかもしれないが長いさきのことを考えると、テストの点数を少し上げるよりは、うまいつきあい方をする方が大事だ。人によって、勉強のやり方は違うだろうが、その間、数学の風景を眺め、数学の声に耳をかたむけているかどうかだけは、決定的だと思う。そのうち、心が数学に向かって開いてくる。》と・・・。
 森先生の言われる通り、こんな気持ちで数学と向き合えたら、最高だと思う。授業の時にも、心の片隅にこの気持ちとゆとりを持って接していきたい。 どうしても点数(うちの学校では、35点未満が赤点)にこだわってしまう現場の教師のひとりとして、とっても参考になる教育書かも?と思える本でした。
 今回はクラブの大会のため、出席できなかったけれど、次回は、志賀浩二さんの「無限への一歩」を読んでみたいと考えている。
日 付1996年 11月 9日 土曜日


内 容
名  前西岡 孝昭
学籍番号石水渓探検隊
題  名数学についての三つの対話
コメント『数学についての三つの対話』
アルフレッド・レニイ著 好田順治訳
講談社ブルーバックス 1975年8月20日 第1刷発行

鶴さん:ちょっと古い本だね。
亀さん:原書はBudapest,1965と書いてあるから、もっと古いよ。
鶴さん:どんなことが書いてあるの?
亀さん:三部に分かれていて、第一部はソクラテスとヒポクラテス。第二部はアルキメデスとヒエロン王。質問するのはヒポクラテスとヒエロン王なんだけど、答えるソクラテスもアルキメデスもそれ以上に質問する。的確な質問は、質問の中に答えを含んでいる。質問される側は、それを引き出してやるだけだ。そんな感じの「対話」だ。
鶴さん:たとえば?
亀さん:数学は何を研究するかとヒポクラテスに問われて、ソクラテスは「君が一つの器を見るとき、君が見ているのは器なのか、それともその器の形なのだろうか」なんて問を返す。禅問答みたいでおもしろいだろう。
鶴さん:それは第一部だね。第二部は?
亀さん:第二部は場面設定に懲りすぎてるし、王様はいばっいるので、あまりおもしろくない。
鶴さん:あとひとつは?
亀さん:第三部。前半はトリチェリイとガリレオ、後半はニッコリーニ夫人とガリレオ。宗教裁判のためローマへ出てきたガリレオの、滞在先で世話をしてくれるのがニッコリーニ夫人。そのガリレオに逃亡を進めにやってくるのがトリチェリイだ。
鶴さん:トリチェリイはどんなことを聞くの?
亀さん:アリストテレスはなぜ運動を数学の対象としなかったか?
鶴さん:答えは?
亀さん:アリストテレスは、運動を従属的に存在するものとみなしていた。自然科学の対象は、独立的に存在し変化するもの。数学の対象は、不変で独立的に存在していないもの。というわけだ。言い換えると、有理数までで記述できるものしか、数学にはならなかったのだろう。
鶴さん:トリチェリイのガリレオ脱出作戦は成功するの?
亀さん:ガリレオが拒否する。
鶴さん:どうして?
亀さん:ガリレオが本当の敵と思っているのは教会ではない。ガリレオの敵は科学者たち。アリストテレスの引用しかできない同業者たちと考えていたから。
鶴さん:すごいね。
亀さん:だからローマに残る。科学の自由の旗を掲げるために「天文対話」を書いた。
鶴さん:地動説だね。
亀さん:ところが、コペルニクス説を万人に納得させる証明がなくて、ガリレオは悩む。西へ西へ進んだマゼランが東から帰ってきた!ということを聞けば、地球が丸いということを誰もが納得する。地動説にとって、マゼランの世界一周のような事実が見つからない。「天文対話」はコペルニクス説を支持するだけでしかない。
鶴さん:ニッコリーニ夫人との対話は?
亀さん:教育論の様な所もある。「世の中には、法則を覚えさせることによって、また機械的な一定の手順を展開することによって、数学を教えようとする教師達がいます。彼らは教え方がへたくそな教師ですし、そのようにして教えられたことは、たいして価値のないものです。」
鶴さん:今のニッポンのセンセイたちもよく聞いておいてほしいね。
亀さん:自然を観察する。仮説を立てる。実験する。ここまでが物理学。結論を引き出すのが数学。というふうに数学の役目を説明する。
鶴さん:ニッコリーニ夫人てどんな女性なの?
亀さん:どこかの国のローマ大使ニッコリーニの奥さんらしいが、詳しいことは知らない。でもガリレオがガリレオの夢まで彼女に話すのだから、素敵な女性なのだろう。
鶴さん:じゃ締めくくりはガリレオの夢だな。
亀さん:夢は数学の対象を拡げること。たとえば、偶然で次に何が起こるか分からないことに、人間は怖れる。怖れのかなりの部分は、聖なる怖れとなって神々の世界に隠れる。サイコロ投げ、鳥の飛翔、肝臓の不規則な形。こんなものにも数学は向かって行こう。
もう一つは未来の夢。地球が太陽の回りを動いていることを誰もが知っている時代が「間もなく」来る。
鶴さん:なるほど。
亀さん:ただし、夢には不安が付きまとう。ガリレオは考える。夢が現実となった時代にも、その時代自身の偏見や独断的教条はないか。「科学のおい茂った緑の木に寄生するような人達」はいなくなるだろうか?と。
鶴さん:「科学のおい茂った緑の木に寄生するような人達」か。いるねぇ。うようよと。
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日  付Tue Dec 24 17:09:57 1996

内 容
名  前阪口 由佳
学籍番号津工業高校
題  名無限への一歩
コメント11・12月の月例会には、どちらも公式試合のため、出席できませんでした。新年を迎え、今年こそは、もっと数学について勉強する時間を作るぞと心に誓い1月10日に数学科の図書室で、やっと読みたいと思っていた『無限への一歩』を借りることができました。
本は借りたものの3学期が始まり、やっぱりバタバタと生徒指導やら、2月
11日から出発する修学旅行の事前指導やらと、あっという間に1月31日になってしまいました。
実は、この本は、昨夜、焦りまくって読みました。一応、何か読んだという証を、今日の月例会に持っていかなくてはいけないと思い、私自身が、この本の中
で、初めて知った事、こんな風に無限の考え方を使うこともあるんだということを一つ。(数学の教師であれば、これくらいはしっていなくてはいけないにかも
しれませんが、・・・・)
それは、三角形の面積を求める公式の2分の1という数が、自然数の和の極限に関係しているということ。(詳しくは、この本の115ページから読んで下さい。)無限の世界の出来事が、こんな形で、私たちの身近な世界へ投影されているということ。
ぜひ、読んでみて下さい。私ももう一度、落ち着いて読んでみようと思います。
端末IPIP-ADDR:133.67.86.148
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日  付Sat Feb 1 15:17:22 1997

内 容
名  前阪口  由佳
学籍番号津工業高校
題  名マンガ微積分入門を読んで
コメント 今月の月例会には、ぜひ、『数学のモト』を読んでみようと心に誓い、手に取ってみたのですが、なかなか読み進めることが出来ず、この本を読むことに変更
しました。この本を数学科の図書室で借りるときに、カニエ先生に「えっマンガなの?」と言わんばかり表情で訴えられたような気がしましたが、マンガでも何でもまずは、数学の本に慣れ親しむことが大切と自分自身で納得し、読み始めることにしました。
マンガであったからか、それとも本当に読みやすかったからか、あっと言う間に読むことが出来ました。微積分をうまく日常の出来事と結びつけ、時には、ギャグも入りとなかなか楽しく読むことができました。また、微積分の歴史にも、
広く浅く触れ、大学時代に聞いたような人名も出てきて、この人はこんなに偉大な業績を残した人だったのかと改めて分かったことも多々ありました。
次回は、なにを読もうかなと、また、本日、数学科の図書室をあさってみようと思います。
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日  付Sat Feb 22 13:48:19 1997

内 容
名  前丸林 哲也
学籍番号津西高校
題  名数学を育てる土壌
コメント題名  対話・20世紀数学の飛翔2「数学を育てる土壌」
著者  上野健爾・志賀浩二
出版社 日本評論社
 この志賀先生の対談集は5巻あって,1から順に1「解析学の表現したもの」(青本和彦),2「数学を育てる土壌」(上野健爾),3「確率論をめぐって」(高橋陽一朗),4「数学のおもしろさ」,(斉藤恭司)5「トポロジーの展開」(森田茂之)となっています.今回紹介する本は,その第2巻で12月の紹介で書いた「現代数学への招待」(岩波書店)の著者でもある志賀先生は,私自身,以前5,6年前東京で先生の講演を聞いてからこの先生の本はこれから読んでみたいと思うようになりました.何というのかこの先生の人柄が権威的でなく穏やかでそれでいてまじめで・・・・.数学者でありながら当時としては珍しく(少なくとも私にはそう思われました)数学教育に熱心に取り組んでおられる姿から,高校教師である自分の数学教育に対する姿勢を考えるきっかけになったように感じました。
 今回紹介するこの本では,上野健爾先生もまた世界的な数学者でありながら,数学教育にも熱心に取り組まれて,岩波書店から「現代数学の入門全10巻」,「現代数学の基礎全16巻」,「現代数学の展開全12巻」の編集委員として若い世代の数学教育を熱心に考えてみえるのだと感じていました.
 この本は対談形式であるのでどこから読んでもそれぞれにトピック的におもしろい話が登場してきます.たとえば数学の学びはじめの年齢とか,代数幾何(代数と幾何ではない)学の対象と方法など,教育的な内容から先端の数学の内容や方向にいたるまで読者の数学的知識,教育的経験に応じた読み方ができる内容であります.いくつか私自身が気になった項目をあげてみますと,以下のようなものがあります。
(1)数学学びはじめ
(2)代数幾何の対象と方法
(3)霧のかなた
(4)実践的数学教育
(5)概念と譬え
(6)感性をとりもどす
(7)柔らかな土壌
(8)知識への自覚
上記に関してその内容で、これはと思うことを以下に列挙しましょう。
(1)数学学びはじめ
・数学を学び始めたのは、いつ頃かという話題でアティヤーやフォン・ノイマンはじめ上野先生も中学2年から3年の年代に数学に目覚め始めたようで、必ずしも幼少の頃から数学的な才能があったようには書いてなかった。田舎の本屋さんにも数学書がおいてあったことは、今のような本屋はあるが学問的な本はなくマンガがほとんどという状況はなかった。昔のほうが良かったのかなあ
(2)代数幾何の対象と方法
・コンピュータと絡んで、有限体上の代数幾何がこれからおもしろくなってきそうである。例えば有限体上の代数曲線の話が符号理論に応用できる。ゴッパというロシア人が有限体上ので定義された代数曲線を使ってゴッパ・コードというコードを作った。(これについて調べてみようかと思っています。)
(3)霧のかなた
・数学の発展に比べて、数学教育が全然進歩しなっかたというか、数学者がなにも用意しなかったということがある。すなわち完全に個々の人の努力によってマスターするしか・・・。ブルバキの構造のような理念的なものが先行してしまい、本当の教育というか、時代をどう受けてやるかということに対する議論がほとんどなかった。
(4)実践的数学教育
・実際に高等学校で教えていることは、数学者が使うものとはずいぶん別なことをやっている。数学者が当たり前と思っていることが実は学生には全然当たり前でないということが非常に多い。
(5)概念と譬え
・今の高等学校の先生方に欠けているものは何か。今の高等学校の先生にとっては、数学というものが現代化された抽象化されたかたちで入っている。幾何もしらない。そうすると、物理でも化学でも数学でも、なかなか譬えが言えないのではないかと想像される。数学者はすぐに譬えがいえる。譬えが言えるというのは、十分にものを知っているから即座に出るわけである。計算ばかりを教える。またそうしなければ大学に入れない。高等学校の先生方はそういう計算方法とか何かは教えるが、概念の拠ってくる場所を教える機会は少ない。概念というのはどうしても抽象的に取り上げてるから、背景にある世界というか、そういう実例を、ごく日常的な譬えで話してやる必要がある。ところがなかなかそういうものが即座に出てこない。全体にうわべだけでずっと走ってしまう。問題を解くにはそれでひとまず十分なのです。だから、大学の先生は、てらわないで譬えを言ってほしい。
・数学の概念を理解するには証明よりも、一つ適切な例で理解するほうがおもしろいかもしれない。
(6)感性をとりもどす
・入試などを見ていると数学の理解が完全にパターン認識だけになっている。非常におかしなことになっている。中学校の入試は別にしても、これから数学を勉強しようというような人が、ある種のパターン認識に一方的に走るのは極力避けなければならない。
(7)柔らかな土壌
・数学以外の分野でも物理などは解説書のたぐいは多いのだけど、もっとまじめな一般の人向けのものがあってよいと思う。結局物理のいわゆる啓蒙書は要するにお話なんです。数学になると、もうちょっと考えなければならないので、どうしても取りつけなくなる
・数学の愛好家の層は非常に広い。そういうことに目を向けて、中学とか高校の数学教育も、だんだん柔らかな土壌にしていく。
(8)知識への自覚
・数学は体系的でもっとも能率よくカリキュラムが組み立てられているわけです。そして、一度やったものはもう二度と戻らないという原則がある。微分積分は大学でたまたま戻る非常に例外的な場合です。
・知識の力とは、上へ行って下を見て初めて、この視点まで上がったおかげでこんなによくものが見えるようになったと確信する。そのことによって、勉強した甲斐があるわけです。

 この本は何回も読み返していくたびに新しい認識ができます。上野先生の「代数幾何」(岩波の応用数学講座)のなかに代数幾何の話として符号理論の話が書いてあります。もう一度読んでみようかとこれを書きながら思いました。

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日  付Sat Feb 22 19:09:50 1997

内 容
名  前阪口 由佳
学籍番号三重県立津工業高校
題  名『不思議なトポロジー〜山手線の地図はなぜ円いのか〜』を読んで
コメント まず、トポロジーという言葉を聞いて、大学時代にカニエ先生の講義で受けた『群と位相』や『結び目の理論』のことを思い出しました。特に、位相のところで出てきた同値や同型の意味が、よく解らず、私自身の中で想像できない世界で数学を考えているような、けれども、カニエ先生は教壇でとてもおもしろそうに満足をされながら講義をされている・・・私にとっては、とても難しい講義だったな・さぼりたいなと思うことも度々あったなと思ったことがあったということを思わず思い出してしまいました。
きっとまた、難しい内容がぎっしりと詰まっているのかとなかなか本を開ける気が起こりませんでしたが、3月の月例会に出席するには、この本の感想を持っていかなくてはと読み始めました。
すると、トポロジーというものが「三角形も四角形も円もすべて同じものとみなす」不思議で新しい幾何学であるということが身の周りの出来事と結びつけて解りやすく、またおもしろく書かれてありました。(大学時代には、なんとかして難しいけれど数学の単位だけは取らなければという焦りの思いしかなかったけれど、読んでみようと思って気軽にページを開いたからかもしれませんが。)
中でも第4章の『おもしろくて応用自在なグラフの理論』のところでの「オイラー標数」は興味深く、頂点の数ー線(辺)の数で、様々な図形を判定できることが分かりました。それは、樹形図やトーナメント表、迷路などオイラー指数を計算することによって解決への大きな糸口になることも分かりました。
エピローグのところで、作者がこんな風に書いています。「トポロジーは数学者の興味だけでなく、いろいろな教訓も与えてくれると思います。そもそも、トポロジーが生まれたのは、何らかの行き詰まりを打開するためだったのですから・・・。創始者ポアンカレが普通の方法で微分方程式を解こうとしてだめだったので、量的な方法から質的な方法に転換したことで見通しが開けた、その質的な方向というのは、コマゴマした情報のうち、必要なものだけを取り出すことによって得られたのです。情報が溢れ、混純とした現代にはトポロジーのような、物の本質を分析する幾何学がピッタリかもしれません。行き詰まったときに、トポロジーの見方で新しい発想を生み出してください。」と。作者のメッセージのような見方が出来るように、数学だけでなく、どんなときにも行き詰まったときには、トポロジー的な見方ができればと感じました。(終わり)
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日  付Sat Mar 22 14:20:03 1997

内 容
名  前古川 昭夫
学籍番号SEG
題  名わくわく学ぶ数学記気旅佑方(興味編) 植野義明著(増進会出版社)
コメント最近、いわゆる学習参考書のレベルも高くなってきました。
もちろん、相変わらず、問題の答えだけのつまらないものも
多いですが、この本は、学習参考書界の New Wave に属す
新しいタイプの参考書です。

例えば、こんな問題が載っています。

1 雑巾を水にひたし、ぎゅっと絞ると、重さは乾いている
  時よりも何グラム増えるか、実験せよ。
2 汚れのついた雑巾を真水の入ったバケツに浸してよく洗う。
  バケツの水を3回取り替えて、汚れを100万分の1に
  したい。水はどれだけ必要か?

このような日常的な話題から、マルサスの人口論、や難民の
話まで、 数学って、日常から離れたあっちの世界にある
のではなく、こっちの世界にあるんだってことを訴えたい
著者の気持ちが伝わってきませんか?

本体1000円+消費税50円
ISBN4-87915-350-8


評者の連絡先




評者のhomepage

端末IPIP-ADDR:202.33.199.66
BROWSER:Mozilla/3.01 [ja] (WinNT; I) via proxy gateway CERN-HTTPD/3.0 libwww/2.17
日  付Thu May 8 23:37:57 1997

内 容
名  前阪口 由佳
学籍番号 三重県立津工業高校
題  名「極限の深み」数列と級数・・・志賀 浩二著
コメント この本を読むきっかけは、この4月から初めて「数学III」の講座を担当することになり、極限についてもう少し勉強したいと思ったことからでした。そこで、カニエ先生に「極限について書いてある易しい本はありますか。」とお聞きしたところ、この本を紹介していただきました。 極限のイメージが生徒にとってなかなか理解しがたいようでしたので、授業の始めに、この本の最初にある「極限概念の誕生」という話をしました。古代の数学者達が円の面積を詳しく調べていく中で、「π」という値についてより正確な値を知りたいと願った。その事が、3.14・・・の小数点のはるか先につながる数字の列という、ものの個数を数えたり、ものの集まりに順序をつけるときに1、2、3・・・という数を用いたのとは全く別の数学の世界へと足を踏み込ませる 契機になったということでした。「近づく」という意識から、極限という概念の誕生へと結びついていったということが分かりやすく書いてありました。 この本の内容といえば、各章の内容が、曜日ごとに別れていて、1週間で読めるようにまとめられています。 月曜日 極限と連続性 火曜日 収束 水曜日 級数 木曜日 絶対収束と条件収束 金曜日 べき級数 土曜日 べき級数の表す関数 日曜日 オイラー数学の光 各曜日の終わりのところには、「お茶の時間」という項もあり、ガウスコーシーについてなど興味深い内容も載っています。ぜひ、一度読んで見て下さい。
端末IPIP-ADDR:133.67.86.151
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日  付Tue May 20 15:53:38 1997

内 容
名  前丸林 哲也
学籍番号三重県立津西高校
題  名複雑系とは何か 吉永良正著 講談社新書 \660
コメント 最近何かと話題なる複雑系。少し前だとファジーかな。
カオス、フラクタル、ライフゲーム、パイこね変換が登場します。
 mathematicaのウルフラムも登場。彼は著者によるとトラブルメイカーのようです。科学者にとって頭の切れることは必要条件ではあるが十分条件ではないそうです。今話題の飛び級でいうと、ウルフラムは飛び級をくり返した人物ですが・・・・。
 複雑系についてはすっきりとはわかりませんが、登場する数学者等の人物評はおもしろく読めました。
 読んだあともあまりすっきりしない複雑系ですが。私の読み方が良くないのでしょうか。
端末IPIP-ADDR:133.67.86.148
BROWSER:Mozilla/2.01I [ja] (Win95; I)
日  付Tue May 20 17:06:50 1997